何も知らず、高校時代の憧れのまま公立教員になると、死にます。
そこで今回は、現役教員であるわたしが、教員になる前に知りたかった教員の働き方を4つ紹介します。
本記事を読めば、教員になるか迷っている方にとっては、そのまま目指すか、それとも断念するか、参考になると思います。
筆者の紹介
ゆとりんり:
新卒で倍率100倍の民間企業に就職後、教員に転職
教員採用試験の採用枠1枠に1発合格(働きながらの完全独学)
県に授業の研修用資料の提供や、学校の試験問題見本の作成を行う。
現在は教員から転職して、並にゆとりに働いています。
noteで「少し変わった倫理の指導案」をスライドと一緒に公開しています!
何も考えず、楽しそう!とだけ思って教員になった私に言い聞かせるかのような記事です。
見ておきたい数値
教師を目指す人はおそらく聞いたことがある話だと思います。
教師って辞める人が多いんでしょ?もう絶対ブラックじゃん。
ですが、1つ頭に入れておいてほしい数値があるのです。
現在の高校教員の離職率はなんと約1%!(参考)
あれ…、思ったほど高くない。もしかして、教員て、ホワイトなの?
数値だけ見るとホワイトのように思いますよね。答えはこの後話します。
本記事では教員の立場からリアルな現場をお伝えします。
本記事の内容(押すとジャンプします)
高校教員って実はホワイト?
先程、高校教師の離職率は1%程度とあげました。ん?低くない?ホワイトなの?
断言します。違います。
教員から民間への転職は難しいから、転職したくても、できないのです!!なぜ難しいのか。詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
就職活動が始まる前なら、まだ間に合います。大学4回生になる前に本記事を読んでもらえているならば、なおさらラッキーです。
ぜひ読んで下さい。
本記事を読むことで得られるもの
本記事を読むことで、教員の仕事とはどういうものなのか、リアルな面がしっかりと見えるでしょう。その代わり、覚悟は決めてください。そして「自分は本当に教員になるのか」改めて考えてみてください。
読み終えた頃に、自分が重視するものがそこにあったなら、より教師になりたくなっているでしょう。もしかすると、絶対に教師にはならないと決断する人もいるかもしれません。
本記事を読むと、教師のブラックな要素がリアルに見えてきます。教員志望者は覚悟を決めてください。
※最後に忠告です。
これが最後です。教師への憧れがなくなる可能性もあります。それでも公立高校教員のリアルを知りたいという方のみ、この先読み進めてください。
働く上で重視されるもの
まず、教員とか会社員とか関係なく、働く人が働くうえで重視するものは何か知りましょう。
働く人が重視するものが教員にあるのかという視点で本記事を見るためです。
お金、休日、仕事内容など。みなさんはなにを重視しますか?教員を目指してるみなさんは仕事内容ですか?(子どもたちに教えてあげたい!あの時の先生のような担任になりたい!とか)
学生の皆さん。いざ働いてみると憧れだけでは働けないということがわかります。
私の社会人1年目は半年で退職
実際に私も憧れで会社を選びましたが、入社した最初の会社は6ヶ月で退職しています。というのも、働くのは本当にしんどいんです。思い描いてた世界がないのは本当にしんどい。身をもって感じました。
入社前のわたしの気持ちは次の通りです。
- お金がたくさんもらえる!
- やりたいことができる!
- 第一希望の会社だ!
- 大企業だ!
- 住みたい街だ!
- 自慢できる!
これだけ見るとなんで辞めたの?と言われそうです。わたしも夢と希望に溢れて入社しました。
しかし、働いて気づいたものがあるのです。やりたいことより、もっと大切なものがある。
わたしのようになってほしくない
みなさんには少しでも現実を見て、覚悟を決めて道を歩んでほしいのです。わたしが実際に経験して、共有しておきたい現実をここでまとめます。
まずはここから現実を見ましょう。仕事で重視するのは仕事内容や金だけではありません。
一般的な働く社会人が「働くうえで大事だと思うもの」ランキングはこちらです。
1位 給与
2位 勤務地
3位 休暇日数
4位 労働時間
参考はこちら
今回は転職者が重視するものをとりあげました。
理由としては、新卒者が重視するものは働いたことがない人が重視するものであるから。転職者は一度働いた上で、重視するものを挙げている分、本当に働くうえで重視するものが見えるからです。
このランキングを念頭において、この先読み進めていきましょう。1番気になる給与は最後にさせていただきます。
1.教員の勤務地
「教員における勤務地」は教員の世界で「配属ガチャ」と言われるものです。公立学校の教員の場合、どこの学校になるかは3月になるまでわかりません。
これだけではありません。教員の勤務地におけるブラック要素はこれらです。
- どこの学校になるか3月になるまでわからない
- 勤務地希望は全く通らない
- 極端に遠くないと高速代は出ない
それぞれについて具体的に解説していきます。
勤務地がどこになるかわからない。
これは転勤のある会社員でも同様ですが、勤務地はどこになるかわかりません。採用された自治体で初任校は4年、異動後の次の異動は5〜8年くらいの間隔です。
しかし、これもタイミングはわからず、2年で異動のケースもあります。
採用された自治体の中で決定されるため、山奥の可能性もありますし、島の可能性もあります。
3月になるまでわからない。
異動は3月の末になるまでわかりません。
会社員よりも遅く、事前通告もありません。学校長から16時頃に内線で呼び出され、次の勤務校が告げられます。
告げられてから、家探しを行わないといけないため、よい物件は残っておらず、このタイミングはブラックの要素と言わざるを得ないでしょう。
さらにそれだけではありません。これ以上の要素になるのが、勤務地希望にあります。
勤務地希望は全く通らない。
11月になると、来年度の人事希望がとられます。初任者の場合、採用された後12月頃に集められ、配属面談が行われます。
- 持ちたい部活動
- どんな学校に勤務したいか
- どこの地域に行きたいか
など
上記ような聞き取りが行われます。
歳をとっていいところに行きたいならば「若いうちは経験のため、どこでも行かせてください!」というのがよいと先輩教員たちからは言われます。
この噂が何よりのブラック要素でしょう。そんな昭和思想が通常化している仕事はなかなかありません。そして、ここでとられた希望は全く通りません。
希望は本当に通らないのか試してみた。
私は初任時に、噂は耳にしていたので1つ実験をしてみました。
島での勤務を希望します。住み込めます。
わたしは、一番人気のない「島で勤務を希望します」と伝えてみました。その結果、真逆の山の中での勤務となりました。本当に通りませんでした。
結婚出産に伴う転勤希望は通るのか
結婚して子どもができるため、勤務地を家の近くに希望した先輩も、家とは真逆の片道1時間20分の学校へ転勤となりました。
校長にも力のあるなしがあるようで、出世した校長は人事に介入でき、欲しい人材を自分の高校にもってこれる様子でした。(ゆとりんり独自聞き取り調べ)
交通費はかなり少ない
私は35km程の通勤を経験したことがありますが、月々の交通費支給は1万円程度でした。
その一方で支出は、毎日高速道路を使っての通勤で、高速代支出は1万5千円程度。ガソリン代支出は、燃費が悪かったこともあり月約2万円。赤字です。
つまり。仕事でお金を稼ぎに行っているはずが、差し引き 月2万5千円ほど払っていることになっていました。
交通費定期分全額支給は民間企業では普通となっていますが、公立の教員(公務員)はほぼ自費です。
ここまで、勤務地のブラック要素をみてきましたが、まだ一般的な民間企業でもありうる話かと思います。転勤のある企業は希望が通らなかったなんてこともあります。
では、次の要素をみていきましょう。
2.休暇日数
社会人が重視するポイント第3位の休暇日数をみていきます。
一般的な企業の休暇日数は120日と言われています。年の1/3は休みなんですよね。では、教員はどうか。
教員の年間休日は、約70日(年休含む)
すごく荒い計算になりますが、週休2日(月に1回土日休みがある計算)、年の長期休暇6日×3(ゴールデンウィーク・夏・冬)、年休年5日分、これらを足しました。
長期休暇はこんなに休める保証はありません…。
週休1日とはどういうことか
教員の休日は、週に1日という人も少なくありません。
理由としては、部活動を持つ教員は土曜日が部活になります。野球部や赴任校が力を入れる部活動を持った場合、土日が両日ともなくなる可能性もあります。
そのため、週に休みは1日あればいい方でしょう。
部活をもつ教員は、土曜日が部活のため、完全週休1日制の可能性もあり。
部活を持っていないベテラン教員は完全週休2日という人も多いので、何十年も耐えればそんな日常も得られる可能性があります。
仕事と一番楽しい若い時期のプライベートを天秤にかけて考えましょう。
年休(有給)は取れるのか
教員の有給は「年休」と呼ばれます。
一般的な民間企業は有給全日消化が当たり前となってきましたが、教員の有給消化率は約20%ほどと言われています。
システムとしては、年20日の有給が給付され、使いきれなかったものは次の年に繰り越します。そして最大40日がたまっていきます。
しかし、年間20日は使い切ることはほとんどあり得ません。これは教員の働き方に原因があります。
教員が有給を取得できない理由
教員が有給を取得できないのには決定的な理由があります。
(1)平日は授業や担任業がある
基本的に授業は自分以外の人が行うことはありません。年間40日有給を取ると、40回分の授業をしないことになります。また、担任業もやらないことになり、休んだ次の日は2日分の仕事をすることになります。
だったら、夏休みとか春休みに有給(年休)を取ればいいじゃないですか
という意見もあるでしょう。ここでもう一つの理由です。
(2)教員業界の体質
学校の先生は古い人が多いです。先に帰ろうとすると「もう帰るの?」などの声はよく聞きます。(実体験に基づく)
実際に休日の部活動を減らそうと動くものならば、「部活動は子どもたちに教育には欠かせない」「私たちの頃は若手が率先してやっていた」など言われ、積極的な改革は行われません。
子どものためという圧倒的正義を建前にやりがい搾取が謳歌しているのが、教育業界です。
(3)私の実体験
私も、部活動を先輩と分担して行おうと声をかけたことがあります。結果「私はやらない」と言われ当日は先輩が来ないということもありました。
また、管理職には「若手の時に経験しておけば絶対伸びる」など言われ、出ざるをえない状況を作られました。少し顔を出せない期間があると、職員室で大声で怒られるということも・・・。
トップが変わらない限り、体質は変わらないですし、残っていく先生は耐えられる人になるので、この現状が変わることは難しいでしょう。
3.勤務時間
教員の労働時間はだいたい8:30始業17:00定時となります。休憩時間を入れると7時間45分が勤務時間です。
しかし、圧倒的矛盾点がここにあります。
部活動の終わりが18:30、完全下校19:00なのです。(学校による)
この時点で2時間の残業は確定となります。
そこからクラスの休んだ子の家庭に電話をし、分掌の仕事を始めます。終わる頃には8時半ごろでしょうか。
じゃあ、教員の仕事の代表とも言える「授業」の準備はいつしてるの?
家に帰ってから、です。
それでは、相当労働時間が多くなってしまうはず…。次は、データで教員の労働時間をみてみようと思います。
データで見る教員の労働時間
文部科学省が高校教員の働き方改革の実態を調査してまとめています。この時間外勤務の経年比較を見てみましょう。
データを見ると、月残業時間が45時間以内の人が増えている。つまり、残業時間が減っているということ。
しかし、実態はそうではありません。
文科省データ「残業時間減」に隠された真実
先程のデータでは教員の残業時間が年々減っているという結果が読み取れましたが、これは全く事実とは異なります。(教員の私の現場の声より)
ここで、私の知る限りの真実をお話しいたします。
真実1:残業45時間以上の教員が多いと管理職の給料は減らされる
教員の勤務時間はデータ管理されており、パソコンをつけている時間がそれに当たります。
月45時間を超える勤務をする教員が多いと、管理職は評価に関わるので、早く帰るようにいうのです。
それにともなっての真実もあります。
真実2:データの改ざん!?グレーな勤務記録
集計されたデータを確認した管理職は、その教員の業務について、業務か業務でないのか判断を行います。
勤務時間記録とは別に、この時間のうち◯時間は自己研鑽と記録する場所もあります。
管理職から「ここは自己研鑽では?」と言われると、教員は入力内容を変更し、自己研鑽に数値を入力することになります。
これで、データ上の勤務時間は削減されたことになります。
真実3.そもそもパソコンをつけなければいい
テストの採点や提出物のチェックなど、時間がかかるがパソコンを使わない作業は、勤務時間外に回し、パソコンの電源を切って行うことも多いです。これにより、勤務時間に換算はされません。
なぜここまでするのか、別に勤務時間に換算されてもいいじゃないか。と言われますが、月45時間を超えると校長室に呼び出され、指導をいただくことになるのです。
仕事を与えているのは管理職のはずなのに、なぜできないのか、削減不可能なのに削減するように言われるのです。
多くの教員はそれが面倒だからとこんなことをしています。
真実4.授業準備は家で行っている
先日の教員の労働時間についての裁判で「授業準備は5分が法定内」と結論が出されました。しかし、ICT化も進み授業準備はより時間がかかるようになってきました。
プリントの準備、パワーポイントの準備などなど、することはたくさんです。さらに担当する科目分をれをしないといけません。
倫理を担当の皆さん、パワポは私の作ったものを共有していますので、そのままダウンロードして使ってください。
ではいつその準備をしているのかといえば、家に帰ってからです。
先輩教員たちは「若い時にストックしておけば後で楽になるから」と言います。しかし、5年後そのパワーポイントが使えるかといえば、完全にYESとはいえないのです。
つまり、なんやかんや準備は必要なのです。そして家で準備をするとなると、労働時間は莫大になります。
時間外も含め、リアルな1日の労働時間を計算してみた。
わたしの普段の勤務時間を参考にリアルな勤務時間を計算してみました。
8:00には出勤し、20:30に退勤、家で家事をしたのち22:00〜1:00まで準備。が、5日分。
通常勤務11時間15分 + 家庭での授業準備3時間=14時間15分
休憩時間も実際は働いているので、約15時間は労働になります。
土曜日は部活で8:30〜14:00の勤務の5時間30分。
日曜日は授業準備に当てます。13:00〜19:00の準備で6時間。
計11時間30分
結構な量働いています。あくまで私の勤務を元に計算をしていますが、同期と話すともっと働いている人もいます。
勤務時間だけでもブラックでは…と思ってしまうかもしれませんが、衝撃の事実はまだまだあります。
で、この残業に給料はどれくらい出ているのでしょうか。
4.給与
これだけ働いているならお金はどれくらいもらえるか。結論を先に述べます。
25歳段階で、手取り22万ほどになります(家賃補助2.5万、交通費9000円含む実体験ベース)。これに1回部活動をすると、約3000円が追加されます。
教員の残業代
教員に残業代という概念はありません。民間企業でいうところのみなし残業がつきます。月給の4%が毎月残業代としてつくのです。
つまり、数千円です。これが毎月給与にプラスしてもらえます。何時間残業しても残業代は数千円です。
教員のボーナス(賞与)
教員のボーナスは年に2回あります。手取りで約40万円弱です。あくまで、20代半ばの教員の話です。
他の職業と比べても、割と多いのではないでしょうか。夏・冬のボーナス全額と、月の給料を少しずつ貯金していくだけでも、1年で100万円ずつの貯金を作ることは可能でしょう。
給料についてまとめると
月の給料に関しては、1年で1万円ずつ上がると言われています。50代で主任をされている先生は、税引前の年収は800代でした。
給料に関しては悪いとはいえません。
みなさんが、お金をとるか、時間をとるか、やりがいを取るのか、そこ次第になるのですが、教員になるならお金の面は安定しているといえます。
金銭の額面は悪くないが、拘束時間が長いため、何を重視するか考える必要あり。
まとめ.教員はブラックかホワイトか
教員という仕事は、ブラックかホワイトか、自身でしっかり考えてみてください。確かにやりがいはありますし、ノルマもありません。給料も安定しています。
もし労働時間や休日は少なくても、仕事内容を重視する人にはホワイトと言えるかもしれません。
しかし、時給換算した給料はとても低く、部活動については、時給550円程度です。そして休日も仕事の準備やそれも部活動で、ほぼありません。
プライベートや対時間の賃金も重視する人にとってはかなりブラックな職場と言えるでしょう。
- 「仕事をしたい」「お金や時間は気にしない」という人にはホワイト。
- プライベートや対時間の賃金を重視する人にはブラック
今、しんどい先生。私はこの方法で気分を変えました。本当に気持ちが全然違います。「いつでも辞めれるんだからな」の精神は最強です。
大学生のみなさんへ
3月から民間企業の就活が始まります。教員からの転職は大変難しいため、今、本当に教員になるべきか、自分に向いているのかどうかしっかり考えておきましょう。
それでも、教員になりたいというのであれば、
どうせなら楽しんでやりましょう!!
noteで「ちょっと変わった倫理の授業」を公開中
倫理の授業がつくれない…
よく言われます。地歴公民の教員でも一番担当したくないのが、「倫理」です。
そんなみなさんのために、そのまま使える指導案とスライドを公開しています!
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それでも教員になりたいという人のために、転職についてもまとめています。教員になる人は、転職サイトに登録するという道もあることを知っておきましょう。辞めたい時に辞める準備を。
覚悟を決めて、教員になるんだと意思が固い人は、本気で目指しましょう。それでも、民間企業の面接から受験していくことをお勧めしています。その理由はこちら。
2次試験の面接対策にもなりますので、民間企業の面接は受けましょう。と、その前に、面接対策として2つだけしておくべきことがあります。
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高校教師はブラックなの?
具体的には何がブラックなの?